「いかに明るくおおらかな庭と住まいをつくるか」
敷地は350年前ほど前に開村した閑静な住宅地。はす向かいには神社があり、前面を小さな用水が流れています。車の無い時代のまちの構造がそのままのスケールで残っており、親しみのある雰囲気が漂います。
ここに明るく大きな庭をもつ住宅が求められましたが、敷地周囲には家々が近接していて、単純にオープンにするわけにはいきません。プライバシーを求めて中庭型にしても、そこへの日当たりは望めません。そこでロの字形の住居部分を高く持ち上げ、中庭には盛土をして螺旋状のアプローチをつくりました。
「まちとの距離感と、庭に開いた暮らし」
この立体的な構成によって、視線や音がコントロールされ、庭の緑が通りにも届き、家とまちとがちょうど良い距離感で繋がってくれます。持ち上げられた住居内部は、建具のみで仕切られた一続きの空間。ぐるりと庭に大きく開き、緑、空、風、土、虫や鳥たちのふるまいが暮らしと溶け合います。天候や季節の移ろいが、その鮮やかさのまま内部空間を彩る暮らしです。
住まいを庭やまちに近づけるため、1階の高さを可能な限り抑えました(アプローチ空間の最も低いところで天井高1.9m)。また、空を大きく望めるよう、屋根頂部は隣家からの視線をカットできるギリギリの高さとした。内装・外装は敢えてラフな素材を用いています。そうすることで、外観では新旧混濁した風景に馴染ませつつ、内部では暮らしの雑多さをおおらかにまとめる包容力を持たせています。
ピロティー状の駐車場を抜け丘を登ると、2Fに玄関があります。
庭の緑、光、空の移ろいを室内空間全体に取り込む全面開口。
庭をできるだけ大きくつくるため、住空間の幅は必要最小限としています。