奈良県は南北に長く、その南東端にあるのが下北山村。随分道路が良くなり、大阪から車で2時間強といった距離感だ。
この平屋の古民家は、大正末期か昭和初期に建てられたものだと思う。築100年程となるが、建物の状態は非常に良かった、と思っていた。
鴨居の高さは5尺6寸。昔の住宅に多い高さだが、170cmを少し切ることになり、現代の住宅としてはやはり低い。
できるだけ既存建物を活かしたいところだが、大きく間取りを変える必要もあり、フルリノベーションを選択した。
LDKには掘り炬燵がある。寒い地域なので、炬燵としての価値もあるが、夫妻は床に座っての生活を望んでおられたからだ。
床には現地で採れた無垢の杉板を無塗装で使っている。
夫妻は、都市部からの移住組だが、この地での暮らしが10年を超え、この地域に愛着を持っている。
カフェ巡りが好きな妻がコーヒーを煎れるため、ゆったりとしたカウンターも造作でしつらえた。
アウトドアの趣味が多彩な夫は、広い土間を趣味の空間として活かし、楽しんでいる。
時に厳しく、時に美しいこの地で、民家を改修し、逞しく、楽しく暮らす一例を示せたのではと思う。
解体してみると、見えない部分にシロアリの被害があり、基礎や柱を大幅にやり替えたり、プランを変える上で梁の架け替えが必要な場所もあった。地元の建築会社が柔軟に対応してくれた。
雨の多い地域なので、軒の深さは当初のままとしている。湿気が多いため、キッチンはあえてフルオープンのものとし、何でもできる夫にDIYでお願いした。
大正か昭和初期に建てられたと思われる