京都・嵯峨野の静かな住宅地に建つ、コンパクトな住まいです。
予算に見合う土地を探すため、4年にわたる検討を経てようやく実現しました。「必要なものを丁寧に選び抜く」というミニマリストの考え方と、「これからの人生を心地よく過ごしたい」というセカンドライフへの想いが重なり合い、この住まいは生まれました。
この家の中心には、広々とした土間キッチンがあります。料理が趣味であるクライアントの希望により、キッチンは単なる作業の場ではなく、人が集い、語らう場所として計画しました。玄関を入るとすぐにキッチンが広がり、天井高さに変化をつけることで、空間にリズムと奥行きを生み出しています。
構造材を隠さずに見せる「構造あらわし」のデザインを採用し、木の架構が空間に温もりと力強さを与えています。時間の経過とともに深みを増していく木の表情を楽しめるよう、余分な装飾は極力省き、素材そのものの質感を大切にしました。
延床面積は決して大きくありませんが、天井の高さや光の取り入れ方、視線の抜けを工夫することで、面積以上の広がりを感じられる空間としています。限られた空間の中に、心地よさと機能美を凝縮した住まいです。
外観は周囲の街並みに穏やかに溶け込みながら、深い色の軒とやわらかな左官壁のコントラストが印象的な佇まいとなっています。派手さではなく、長く住み継がれていく静かな強さをもつ住宅を目指しました。
住まいは完成して終わるものではなく、暮らしとともに育っていくもの。
そんな想いを込めて設計した住宅です。
・限られた予算の中で、無理のないコスト計画で住まいを実現したい
・空間に広がりを感じられる吹き抜けのある住まいにしたい
限られた予算の中で住まいを実現するため、空間構成や仕上げの選択を丁寧に整理し、必要な要素を優先しながらコストバランスを整えました。無駄な装飾を省き、素材の質感を活かしたシンプルな設計とすることで、コストを抑えながらも空間の質を高めています。
また、コンパクトな住宅であっても広がりを感じられるよう、吹き抜けを設けました。上下階の空間がゆるやかにつながることで、光や視線が抜け、実際の面積以上の開放感を生み出しています。
天井高さの変化や視線の抜けを意識した空間構成とすることで、限られた面積の中でもゆとりを感じられる住まいとなるよう計画しました。