「冷暖自知」から考える、心地よい家の本質|奈良の注文住宅で大切にしたい、目には見えない感覚と心を設計する家づくり

やまぐち建築設計室

著者:やまぐち建築設計室(建築家・設計事務所/奈良県)
2026-10-09更新
「冷暖自知」から考える、心地よい家の本質|奈良の注文住宅で大切にしたい、目には見えない感覚と心を設計する家づくり
心地よい家は、
目に見えるものだけではつくれないということ。

感覚と心から考える住まいの設計。





※美しいだけでは、心地よい家にはならないということ。

 光と陰影、素材の質感、中庭への視線、内と外の距離。

 住む人の感度と、その重なりをどう感じるかまで考えることが、

 ホテルライクな住まいを「暮らしたくなる家」へと変えていきます。





家に帰って、

玄関の扉を閉めた瞬間に、

なんとなく、ほっとする。



休日の朝、

窓から入る光を眺めながら、

「今日はゆっくりしよう」と思える。



特別なことがあるわけではないのに、

なぜか、その場所にいたくなる。



住まいの心地よさには、

数字や写真だけでは説明できないものがあります。

広いから心地よい。

高価だから上質。

おしゃれだから落ち着く。

必ずしも、

そうとは限りません。



では私たちは、

家の何を感じて、

「ここが好きだ」

「ここに帰りたい」

と思うのでしょうか?



住宅を設計する仕事を続けていると、

家づくりとは、

目に見える空間をつくること以上に、

そこで暮らす人の「感じ方」を整えていくことなのではないか?

と思います。


人は「目」に見える情報だけで
家に住んでいるわけではありません。



家づくりを考え始めると、

私たちはまず、

目から入る情報に惹かれます。



SNSで見つけた美しいLDK。

ホテルのようなインテリア。

落ち着いた和モダンの空間。

格好いいキッチン。

庭を望む大きな窓。



もちろん、

「好き」と感じるものを集めることは、

家づくりの大切な入口です。



けれど、

写真で見る家と、

実際にそこで暮らす家には、

大きな違いがあります。



私たちは、

写真の中で生活するわけではないからです。



朝の光の入り方。

床を裸足で歩いたときの感触。

窓を開けたときに入ってくる風。

料理をしているときの香り。

雨の日に聞こえてくる雨音。

庭の木々が揺れる気配。

少し離れたところから聞こえる家族の声。



そして、

一日の終わりにソファへ座ったとき、

身体の力が少し抜ける感覚。



こうしたものが重なって、

私たちは無意識のうちに、

その場所が

「心地よいかどうか」を感じています。

「なんとなく落ち着く」には、理由があります。

空間の感じ方は、単純なようで実はとても複雑です。



同じ広さのLDKでも、

落ち着く場所と、

なぜか落ち着かない場所があります。



同じように大きな窓があっても、

開放的に感じる家もあれば、

外からの視線が気になって

カーテンを閉めたくなる家もあります。



同じ木材を使った空間でも、

温かく感じる場合もあれば、

使い方によっては

少し重たく感じることもあります。



つまり、

一つの要素だけで

心地よさが決まるわけではありません。



光。

音。

温度。

素材。

視線。

距離。

天井の高さ。

庭との関係。

家具の位置。

そして家族の気配。

それぞれが、

ちょうどよい関係に整えられたとき、

「なんとなく落ち着く」という感覚が

生まれてくるものです。

心地よさは「足し算」だけではつくれないということ。

家づくりでは、

どうしても「何を取り入れるか」

という話が多くなります。



もっと広いLDK。

もっと大きな窓。

もっと収納。

もっと高性能な設備。

もっと上質な素材。



希望を叶えることは、

もちろん大切です。



しかし、

心地よい住まいを考えるとき、

私はそれと同じくらい「何を入れないか」

ということを考えます。



窓をあえて大きくしすぎない。

庭を全部見せない。

天井を必要以上に高くしない。

照明を増やしすぎない。

家具を置かない場所を残す。

動線上に余計なものを置かない。

外から入ってくる視線を一度止める。



足すことによって生まれる豊かさもあれば、

引くことによって初めて感じられる豊かさもあります。



その間にある

「ちょうどよさ」を探すことが、

設計の感度なのだと思います。

人には、世界を感じるいくつもの入口があります。

人が周囲の世界を感じ取ることについて、

昔から興味深い捉え方があります。



「見る」

「聞く」

「香る」

「味わう」

「身体で感じる」



そして、

それらを受け取って「心で感じる」。



こうした人の感覚や認識を考える際、

「六根」という言葉で表現されてきた考え方もあります。



私は住宅を考えるとき、

この「最後は心で感じる」という部分が

とても興味深いと思っています。



家は、

視覚だけで完成するものではありません。

目に入った光も、

聞こえてきた音も、

触れた素材も、

家族との時間も、

最後にはその人の中で

「心地よい」

「落ち着く」

「好き」

「帰りたい」

という感情になっていきます。



ですから私は、

建築空間を設計するとき、

「何をつくるか」だけではなく、

「そこで何を感じるのか」

というところまで掘り下げるようにしています。

家族の「感じ方」は、それぞれ違うということ。

ここでもう一つ、

家づくりで大切にしたいことがあります。



同じ家族でも、

心地よいと感じる環境は

必ずしも同じではありません。



家族とずっと一緒にいたい人もいれば、

一人になれる時間が必要な人もいます。



明るい場所が好きな人もいれば、

少し照明を落とした空間の方が

落ち着く人もいます。



生活感をできるだけ隠したい人もいれば、

家族の気配が見えることに

安心を感じる人もいます。



どちらが正しい、

という話ではありません。



だからこそ家づくりでは、

「普通はこうです」という正解を、

その家族に当てはめすぎないことが大切です。



お互いの感じ方を知り、

違いを認めながら、

家族にとっての

ちょうどよい距離を探していく。



それも、

住まいを考えるということだと思います。

「自分が快適」だけではなく、家族が心地よく暮らせること

良い家について考えるとき、

私は「自分にとって快適」ということだけでは、

少し足りないように感じています。



料理をしている人が、

家族から孤立していないか。

夜遅く帰宅したとき、

寝ている家族を必要以上に起こさないか。

誰かが仕事や勉強をしているとき、

別の家族が気兼ねなく過ごせるか。

将来、

年齢を重ねても無理なく暮らせるか。

家事が特定の誰かだけの

大きな負担になっていないか。



こうしたことは、

華やかな完成写真にはなかなか写りません。



しかし、

毎日の暮らしには、

とても大きな影響があります。



住まいとは、

家族がお互いを思いやる気持ちを

無理なく支える場所でもあります。



「気を遣い続けなければならない家」ではなく、

建築そのものが、さりげなく家族を助けてくれる。

そんな状態をつくることも、

設計の役割だと思っています。

外との関係を閉ざしすぎないということ。

心地よい住まいを求めると、

どうしても

家の内側だけを考えがちです。



しかし家という生活環境は、

地域や自然、

隣家や道路と関係しながら存在しています。



外から丸見えにはしたくない。

でも、一日中カーテンを閉めて暮らしたくもない。



そこで、

格子を設ける。

植栽を置く。

建物を少しずらす。

中庭をつくる。

深い軒を設ける。

窓の高さを調整する。



完全に閉ざすのでも、

すべてを開くのでもなく、

自分たちの暮らしと外の世界との間に、

心地よい距離をつくる。



私は、

こうした「間」を考えることを

大切にしています。

上質な家とは、
高価なものを集めた家ではないということ。

上質な住宅という言葉から、

高級な素材や家具、

大きな空間を想像する方も

多いかもしれません。



それらも、一つの豊かさです。

けれど私は、上質さとは、

もう少し意識的なところに

存在すると思っています。



朝、

自然光だけで過ごせる場所。

窓辺に椅子を置きたくなる余白。

庭の一部だけが美しく見える窓。

照明を落とした夜の陰影。

手で触れたくなる素材。

家族がそれぞれ違うことをしながら、

なんとなく同じ場所にいる時間。



高価だから価値があるのではなく、

何年経っても、その場所で過ごす時間を好きでいられる。

私はそこにも住まいの上質さがあると思います。

「何帖欲しいですか?」より先に聞いてみたいこと。

家づくりの打ち合わせでは、

LDKは何帖。

収納は何帖。

子ども部屋はいくつ。

という話が必要になります。

でも、

それより少し前に、

考えてみてほしいことがあります。



朝、

どんな場所で珈琲や紅茶を飲みたいですか。

休日、

家族とどんな時間を過ごしたいですか。

一人になりたいとき、

どんな場所があると落ち着きますか。

家族の気配を、

どのくらい感じていたいですか。

窓から、

何が見えたらうれしいですか。



そして、疲れて家へ帰ってきたとき、

その家に、

どんなふうに迎えてほしいですか。



こうした質問には、

すぐ答えられないかもしれません。

でも、それでいいと思っています。



むしろ、簡単には言葉にできないところに、

その人らしい暮らしのヒントが

隠れていることがあります。

家づくりは、自分たちの「心地よさ」を知るところから始まるということ。

住宅には、床面積があります。

性能という存在があります。

予算という壁があります。

法律という検討事項があります。



それらは当然、

きちんと考えなければなりません。



しかし、それだけでは

「帰りたくなる家」にはならないと思っています。



目に見えるもの。

耳に聞こえるもの。

身体で感じるもの。

そして、

そこから心に生まれるもの。

家族との距離。

外の世界との距離。

一人になる時間と、

一緒にいる時間。



そういう、

図面の数字には表れにくいことまで

丁寧に考えていく。



それが、

やまぐち建築設計室が考える

「暮らしを設計する」ということです。



これから奈良で

注文住宅や平屋、

和モダン・ホテルライクな住まい、

二世帯住宅、

古民家再生、

リフォームやリノベーションを

考えている方へ。



まだ、

欲しい間取りが決まっていなくても構いません。



「こんな家にしたい」と、

うまく説明できなくても構いません。



まずは、

「これから、どんな気持ちで毎日を暮らしたいのか」

というところから、

住まいについて考えてみてください。



言葉になっていない感覚を、

一緒に丁寧に整理する。

そこから、その人、その家族にしかない

住まいのかたちが見えてくることがあります。



家を設計する前に、

暮らしを考える。



暮らしを考える前に、

そこで過ごす人のことを考える。



その積み重ねの先に、

長く愛着を持って暮らせる住まいが

生まれるのだと思います。



考える質が、毎日の心地よさになる。

やまぐち建築設計室は、

そんな住まいづくりを大切にしています。



〇関連blog・コラム
理想の暮らしがうまく言葉にできない方へ|「自分たちらしい家」を見つける5つの問い、建築家と暮らしの感度を拡張する家づくり

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail983.html



やまぐち建築設計室の予約制住まいづくり相談会のご案内

※新築・リフォーム・土地探しなど、

まだ考えがまとまっていない段階からご相談いただけます。

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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
ご連絡ください
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著者:やまぐち建築設計室(建築家・設計事務所/奈良県)

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